Japanische Klassiker mit Furigana
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しょさい
書斎
辻 潤
Lesen Sie 書斎 (しょさい) von 辻 潤 (つじじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.384 Zeichen · 5 Bildschirme
私は長い間、書斎らしい書斎も本箱も何も持たないことをさも自慢らしく吹聴してくらしている人間のひとりなのです。文筆生活をしていながら、未だ生まれて万年筆というものを買ったことさえないのを、さも立派な趣味ででもあるかの如く心得て暮らしている人間なのです。
昔、私が二十歳時分の頃、小学校の代用教員に雇われて月給十五円也を頂戴している頃のこと、女の先生と机を並べてカアライルの『サルタル・リサルタス』を苦虫を噛み潰したような顔をしながら読み耽っていた時分、私は自分達が間借りをしている薄汚ない六畳一間のことを考えて、しみじみとひとりで落着いて物を考えることの出来る書斎でも欲しいと思ったことがありました。
ある時、私はなにかのついでに職員室でそんな風なことを漠然と話したところ、みんなからすっかり嗤われてしまったのです。つまり十五円の月給をもらっている代用教員が書斎が欲しいなどというのはあまりにロマンチックな考え方で、如何にもかれらにとっては可笑しくきこえたにちがいありません。全体、書斎などを持ってなにをするのか? 第一、書斎というからには少なくとも書物の百冊や二百冊位はなければならない。