Japanische Klassiker mit Furigana
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しょさい
書斎
辻 潤
Lesen Sie 書斎 (しょさい) von 辻 潤 (つじじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.384 Zeichen · 5 Bildschirme
四畳半が茶の間で、それが玄関のあがり口にありましたが、親しい訪問客は門を入ると左側の枝折りがありましたから、そこから中の六畳に通すことにしていました。
奥の三畳がつまり私の初めて見つけ出した理想的な書斎だったのです。その部屋は中廊下に隔てられた茶室風な離れで、押入れも床の間も廻り縁もついた立派に独立した部屋だったのです。
私はこの三畳の部屋にひとり立て籠って妄想を逞しくしたり、雑書を乱読したりすることをなによりの楽しみにしていました。
勿論、部屋の装飾といってはなにもありませんでした。僅かに床柱に花が投げ込まれていた位なものです。しかし床の間には竹田の描いた墨絵の観音と、その反対の壁には神代杉の額縁に填められたスピノザの肖像がかかっていました。その軸も肖像も両つながら私のながい間愛好してきたものですが、今では二ツとも手許にはありません。
自分はそれで頗る満足して暮らしていたのでした。ただ自分の職業からくる単調さが時々私を憂鬱にした位なものでした。つまり、私には元来野心というようなものがなかったからなのでしょう。
今でも私はその郊外の閑居で過ごした夏の夕暮の情景を忘れることが出来ません。