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Japanische Klassiker mit Furigana

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あさのかぜ

朝の風

宮本 百合子

Lesen Sie 朝の風 (あさのかぜ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.605 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

そのあたりには、明治時代から赤煉瓦の高塀がとりまわされていて、独特な東京の町の一隅の空気をかたちづくっていた。

本郷というと、お七が火をつけた寺などもあるのだが全体の感じは明るい。それが巣鴨となると、つい隣りだのに、からりとした感じは何となく町に薄暗い隈の澱んだところのある気分にかわって、実際家並の灯かげも一層地べたに近いものとなった。兵営ともちがう赤煉瓦のそんな高塀は、折々見かける柿色木綿の筒袖股引の男たちの地下足袋と一緒に、ごたごたした縞や模様ものを着て暮している老若男女の生活に、一種の感じのある存在で、馴れながら馴れきれないその間の空気が、独特の雰囲気を醸してその町すじに漂っていた。

大震災の後は市中の様子が大分変った。この町のあたりも、新市内に編入されると同時に市区改正がはじまって、池袋から飛鳥山をめぐって日暮里の方へ開通するアスファルト道路やそれと交叉して大塚と板橋間を縦断する十二間道路がついたりして、面目が一新した。

数日前まではそっちの片側がごったかえされて通行止だったのが、きょうはここが通れなくなっているという塩梅の十幾月かがつづいて、ある年の春の日ざしが、やっと通行のきくようになった真新しいコンクリの歩道を一筋白く光らせた時、人々は胸の奥から息をつくようなおどろきの眼でその歩道から目前