Japanische Klassiker mit Furigana
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あさやけ
朝やけ
豊島 与志雄
Lesen Sie 朝やけ (あさやけ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.795 Zeichen · 24 Bildschirme
明るいというのではなく、ただ赤いという色感だけの、朝焼けだ。中天にはまだ星がまたたいているのに、東の空の雲表に、紅や朱や橙色が幾層にも流れている。光線ではなくて色彩で、反射がない。だからここ、ビルディングの屋上にも、大気中にまだ薄闇がたゆたっている。手を伸してみると、木のベンチには、しっとりと朝露がある。清浄な冷かさだ。
おれは今、この冷かさを感じ、この朝焼けを眺めている。いつ眼覚めたのか自分でも分らない。意識しないこの覚醒はふしぎだ。或はまだ酔ってるのかも知れない。夢の中にいるような気持ちである。――だが、この屋外に出て来る前、夜中には、たしかにはっきり眼が覚めた。
その夜、おれは日本酒を飲み、ビールを飲み、更にウイスキーを飲んだ。この最後のやつ、粗悪なウイスキーは、屋台の飲み屋などに氾濫してるカストリ焼酎と同様、敗戦後の悲しい景物だ。その強烈なアルコールは、急速に意識を昏迷させるが、熟睡……だかどうだか分らない睡眠中にも、神経中枢に作用し続けて、その刺戟のため、夜中にぱっと眼を覚めさせる。そして眼が覚めたら、あとはなかなか眠れないものだ。そのことを、おれは度重なる経験によって知った。