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Japanische Klassiker mit Furigana

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あさやけ

朝やけ

豊島 与志雄

Lesen Sie 朝やけ (あさやけ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.795 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

」

それが、何のことだかおれには分らなかった。

「もっとはっきり言えよ。」

「だから、耳を舐められただけ。」

或る夜のこと、他の酔客も立ち去って、中野一人となった。冗談口を利いてるうちに、中野はいつしか黙りこんで、それから、実はたいへん気にかかる秘密事があると囁いた。

「耳をかしてと言うから、あたし、スタンドの上にのりだしてる中野さんの方へ、耳を向けたわ。すると、ただ熱い息だけで、何の声もしやしない。そして、耳朶に何かさわったようで、それから、急にくすぐったくなったから、びっくりして飛び上った……。それだけ。」

「それから……。」

「中野さん、笑ってるから、ばか、と言って、睨みつけてやったら、しょげてたわよ。まるっきり子供ね。」

その、再話ではあるが、ばかという言葉がへんにやさしく響いたのを、おれは心に留めた。

「いったい、耳を舐められたのか、噛まれたのか、どっちだい。」

「舐められたのよ。噛まれたんなら、すぐに分るじゃないの。も一度、うっかりしてる時に、舐められたことがあるわ。でも、それっきりよ。もうあたしの方で用心してるんだから。」

二度あったとしたら、三度あったかも知れないのだ。