Japanische Klassiker mit Furigana
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あさやけ
朝やけ
豊島 与志雄
Lesen Sie 朝やけ (あさやけ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.795 Zeichen · 24 Bildschirme
となってしまった。つまり肉体がまる出しになったのだ。喜久子も、スタンドの向うにのんびり構えて、大きく二重にふくらました前髪を額の上にのっけ、大きな乳房を乳当もせずにぶらさげ、下品な耳朶を若い男にしゃぶらせている。――もっとも、閏房などでなく店先で、彼女の耳を舐めるような芸当は、中野以外の者にはなかなか出来なかろう。
あの晩、おれは、中野の言語素振りに殊に気を引かれた。――いつしかおれ達だけになって、喜久子もいっしょに、三人でビールやウイスキーを飲んでいた。彼女は客の杯を受けることはあまりなかったが、時刻がたって馴染みの者ばかりになると、ずいぶん飲んだ。ビルの屋上のちょっと厄介な場所なので、店開けは早かったが、九時過ぎにはもう客足は絶えるのだ。
「もう遅いようね。……あら、あたしの時計、とまってる。」と男の声。
「いつもとまってるじゃないの。」
「でも、酒を飲む時は、時計がとまってる方がよくはないかしら。あたし、そう思うのよ。」
それを言ってるのが、中野だった。おれはくだらない冗談口にも倦き、酔いも深まって、ぼんやりしていたが、その男声の女口調には感情をくすぐられた。