Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさがおぞうし

朝顔草紙

山本 周五郎

Lesen Sie 朝顔草紙 (あさがおぞうし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.019 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

二

――愈々文絵に会うのか。

と思うと、自然に頬が熱くなった。

客間には明々と灯火が輝いて、酒肴の膳を前に監物が坐っていた。信太郎が下座に手をついて挨拶を述べると、

「ああその方も堅固に成人でめでたい、さ、挨拶はそれ程にして此方へ寄れ、先ず一盞、信右衛門の子なら飲む口であろう」「ほんの真似だけでございます」「遠慮は無用だぞ、さあ」と盃を差出した。

二

「その後とんと消息がないで、実はどうした事かと案じていたのだが、それでは間もなく堀田家へ仕官が出来たのだな」「はい、唯今では江戸邸詰めで、留守居役を勤めて居ります」「それは重々めでたい、あれから最早十五年余り経つのう、当藩にも色々の事があった。信右衛門の退身した折とはまた格別の有様じゃ。時に、この度は展墓にでも帰ったのか」

「はい、実は――」と信太郎は盃を措いて、「突然のことで、甚だ不躾とは存じますが、予て父が在藩中にお約束申上げました、御息女との婚約の事に就きまして」「おお、では文絵を迎えに来て呉れたのか」

信太郎は顔を赫くしながら眼を伏せた。然し監物はそのまま黙ってしまった、暫くしても返辞がないので、そっと眼をあげて見ると、手を膝に置いて眼を閉じた監物の眉が苦しそうに深い立皺を刻んでいる。