Japanische Klassiker mit Furigana
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あさかのみやでんかにじしてみなみアルプスのたび
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
木暮 理太郎
Lesen Sie 朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅 (あさかのみやでんかにじしてみなみアルプスのたび) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.765 Zeichen · 26 Bildschirme
谷が愈々急になって其中が通れなくなると、右に切れて短い偃松の間を魚貫して登った。登って終に広やかな高原のような尾根の上に出た。
尾根は岩片が瓦を敷き詰めたようで歩きよい。高山植物が青苔のように其間を点綴している。近く南に聳え立つ岩塊の堆積から成る一隆起は、二千八百九十一米の広河内岳である。遠い山は大方雲に包まれてしまったが、悪沢岳や塩見岳の巨体は紛る可くもない。西には天竜川が一条の銀蛇となって、伊那盆地を南に走り、長大な木曾駒山脈の果てに、恵那山が独り雲の海に漂う一頭の巨鯨を見るように浮んでいる。「あれは」と殿下のおさしになったピッケルの先には、乗鞍岳の双尖が逆光線を受けて、透明な紫に輝いていた。
後れた人夫を待ち合せて、尾根を北に辿り初める。硬砂岩や砂岩の粗い表面に、黒っぽい地衣が固くへばり付いている。浦島躑躅、苔桃、黄花石楠、姫菅など、岩間に痩せた茎を托しているが、花は流石に美しい。偃松も山の肌へ腹匐いになって、身を潜めている。山稜が漸く凸凹だらけになって、荒れ切った岩の登りが暫く続いた。狭い頂上に三角点の標石がある。これが三千二十六米の農鳥岳であった。