Japanische Klassiker mit Furigana
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あさかのみやでんかにじしてみなみアルプスのたび
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
木暮 理太郎
Lesen Sie 朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅 (あさかのみやでんかにじしてみなみアルプスのたび) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.765 Zeichen · 26 Bildschirme
間の岳より野呂川へ
間の岳より野呂川へ
寝ざめ勝に二十三日の朝を迎えた。寒かったせいもあるが、何とも分らぬ異常な期待に目が冴えて眠れなかったのである。外に出ると草原は水を打ったように露を帯びて、足の指先が針でも蹈むようにチクチク痛い。日の出に間もないと見えて、其あたりと想われる空が金茶色に燃え出した。外の人達も起きて来て東の空を眺める。誰も同じように能く寝られなかったらしい。薄い靄が横に棚引いて、富士の上半を濃い桔梗色に、下半を淡い水色に染め分ける。紅の色は見る見る東の地平線上に拡って、やがて鳳凰山塊の右のはずれあたりが透明な薄桃色に冴え、夫が一刻は一刻より明るくなって行く。山田写真師が急いで三脚を立てる。殿下もいつしか御起床になって、カメラをお手にお伴の人達と同じく東の空からお眼を放されない。「よいかね山田、号令を懸るんだよ」とお命じになる。不意に濃い朱黄色の一線がさっと現れる、夫が弧となり半円となっても、未だ光芒を放たない。物々しい緊張の一瞬間。時機を計っていた山田写真師の「よろしゅう御座います」という声に応じて、一斉にシャッターが動いた。私はホッとしてあたりを見渡した。