Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きのうえとしたのはなし

木の上と下の話

小川 未明

Lesen Sie 木の上と下の話 (きのうえとしたのはなし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.558 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

「さようなら。」

「さようなら。」

木の上では、母すずめと子すずめが、じっとそのようすを見守っていました。

年とったねこは、しいの木の下を通るときに、木の上を見上げながら立ち止まりました。二羽のすずめは、自分たちを見たのかと、びっくりしました。

「おや、まだ私たちをねらうのだろうか?」

「逃げましょうか、お母さん。」

「いいえ、じっとしておいで。」

ねこの目には、もう獲物の影などうつりませんでした。ただ、その木立がなつかしかったのです。

「よくこの木にも登ったものだ。あのいちばん高い頂まで、かけ上がるのも平気だった。」

ねこは、さも昔のことを思い出したように、木の周囲をぐるりと、熱のためにふらふらする足つきで、体をすりつけながらまわりました。

「ああ、この木ともお別れだ。」

ねこはしいの木に別れを告げるために、ここまできたのでした。そして、もう思い残すことがないというふうに、とぼとぼとわき見もせず、あちらへ消えてしまいました。

チュン、チュンと、このとき、子すずめが鳴き声をたてると、母すずめは、しかりました。

「おとなしくしておいで。私たちはみみずにたかったありのようなまねをしてはいけません。