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Japanische Klassiker mit Furigana

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きそおんたけのりょうめん

木曽御嶽の両面

吉江 喬松

Lesen Sie 木曽御嶽の両面 (きそおんたけのりょうめん) von 吉江 喬松 (よしえたかまつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.819 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

十二、三頭並んで崖の上を廻って来る。最先きの馬の背には飼主が乗り、鞍の上で草鞋などを作っていると、親馬の後を追いながら子馬は立ち止って道草を食ったり、また嘶いたりしながら走って来る。と親馬もまた立ち止って長く嘶き互に嘶き合って一つ一つ夕靄の中に消えて行く。

藪原の宿を出抜けると道は既に木曾川の岸を伝って走っている。明日は御嶽へ登るべき身の足の疲労を気遣って藪原から馬車に乗る。馬車は川岸を廻り巡って走るので、川を隔てて緑葉の重々と繁り合っているのを仰ぎ見る心地好さ。

「面白いぞや木曾路の旅は、笠に木の葉が散りかかる。」

これが秋の旅であるならば、夕風に散る木葉の雨の中を、菅笠で辿って行く寂しい味を占め得るのであるが、今は青葉が重り合って、谿々峰々尽く青葉の吐息に薫っている。

馬車屋は元気の好い若者で、自分が何匹も馬を持っている事をば、連りに自慢して話して聞かせた。

「何に一呼吸でさあ、五里ばかりの道、この間四時間でやった事がありまさあ。」

と馬の強いのを誇っていた。――午後の日の光は緑葉に輝き、松蝉の声が喧しく聞えている。暫くすると白い雲が行くての峰に湧き上った。