Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もくばはまわる

木馬は廻る

江戸川 乱歩

Lesen Sie 木馬は廻る (もくばはまわる) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.819 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

「これ、駄目でしょ」彼女はある時、彼女の肩にかかっている流行おくれのショールを、指の先でもてあそびながら云ったものである。だから、無論それはもう寒くなり始めた頃なのだが「おととしのですもの、みっともないわね。あたしあんなのを買うんだわ。ね、あれいいでしょ。あれが今年のはやりなのよ」彼女はそう云って、ある洋品店の、ショーウインドウの中の立派なのではなくて、軒の下に下っている、値の安い方のを指しながら、「あああ、早く月給日が来ないかな」とため息をついたものである。

成る程、これが今年の流行だな。格二郎は始めてそれに気がついて、お冬の身にしては、さぞ欲しいことであろう。若し安いものなら財布をはたいて買ってやってもいい、そうすれば彼女はまあどんな顔をして喜ぶだろう。と軒下へ近づいて、正札を見たのだが、金七円何十銭というのに、迚も彼の手に合わないことを悟ると、同時に、彼自身の十二歳の娘のことなども思い出されて、今更らながら、この世が淋しくなるのであった。

その頃から、彼女は、ショールのことを口にせぬ日がない程に、それを彼女自身のものにするのを、つまり月給を貰う日を待ち兼ねていたものだ。