Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すだま

木魂

夢野 久作

Lesen Sie 木魂 (すだま) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.668 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

そうしてそのまま踏切を横切って、大急ぎで国道を廻わろうか。それとも思い切って鉄道線路を伝って行こうかと思い迷いながらも、なおも石像のように考え込んでいる自分自身の姿を眼の前に幻視しつつ、そうした気味の悪い予感に襲われるようになった、そのソモソモの不可思議な因縁を考え出そう考え出そうと努力しているのであった。

彼がこうした不可思議な心理現象に襲われ初めたのは昨日今日の事ではなかった。

昨年の正月から二月へかけて彼は、最愛の妻と一人子を追い継ぎに亡くしたのであったが、それからというものは彼は殆んど毎朝のように……きょうこそ……今日こそ間違いなく汽車に轢き殺される……といったような、奇妙にハッキリした予感を受け続けて来たものであった。しかし、それでもそのたんびに頭の単純な彼は、一種の宿命的な気持ちを含んだ真剣な不安に襲われながらも、踏切の線路を横切るたんびに、恐る恐る左右を見まわし見まわし、国道伝いに往復したせいであったろう。夕方になると、そんな不安な感じをケロリと忘れて、何事もなく山の中の一軒屋に帰って来るのであった。そうして無けなしの副食物と鍋飯で、貧しい夕食を済ますと、心の底からホッとした、一日の労苦を忘れた気持ちになって、彼が生涯の楽しみにしている「小学算術教科書」