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Japanische Klassiker mit Furigana

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ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう

本州横断 痛快徒歩旅行

井沢 衣水

Lesen Sie 本州横断 痛快徒歩旅行 (ほんしゅうおうだん つうかいとほりょこう) von 井沢 衣水 (いざわいすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.069 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

右方は米山、彌彦山、これもその頂は雲に隠れて、山裾を海中に伸している。愉快愉快。かかる壮大なる景がまたとあろうか。山を攀じ、峠を越えてここに十有余日。炎天、烈風、猛雨、この間を突破し来りたる我々には、この広大無辺なる海洋の夕暮れに、闇らき波の白く砕けて岸に咆ゆる有様がいい知れぬ快感を惹き起して、我れ知らず躍り上るを禁じ得なかった。

将軍忽ち岸の草陰に隠れて糞をひる。これも何かの好紀念であろう。四人手を捉り躍り上りて万歳を呼ぶ三呼。ああ、かくして我々の痛快なる旅行は了ったのである。霎時にして海上を見渡せば、日は已に没し、海波暗くして怒濤砂を捲き、遥か沖合には漁火二、三。我々はこの行を了りてこの無限の太洋に面す。限りなき喜悦は胸にあふれて快たとえ難し。

翌日、汽車に乗り、浅間の山の噴煙を眺め、絵のごとき信濃の国を過ぎて夜の十一時というに上野着。四人の色黒ろきこと印度人のごとし。眼ばかりキョロつかせ、相顧みて、

「愉快だったなあ」。

旬日に余る旅、しかも多く人の難とする険所をのみ選みし行なれば、旅中の珍談奇談山のごとし。一々これを細舒しおれば本誌全誌を挙げてもなお不足を覚ゆる位である。