Japanische Klassiker mit Furigana
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ほんじょまつざかちょう
本所松坂町
尾崎 士郎
Lesen Sie 本所松坂町 (ほんじょまつざかちょう) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.622 Zeichen · 55 Bildschirme
前述のごとく彼はこのとき六十一歳の高齢で、茶道と歌道にうち込む以外には浮世に望みをもたぬ心境に身を置こうとしていた。彼はその頃、次のような歌を詠じている。
「名にしおふ今宵の空の月かげはわきていとはんうき雲もなし」
彼が鰹節の贈りものに不満をかんじたとしたところで、もし賄賂がほしかったら内匠頭が役目を充分に果した上でとるべき道はいくらでもあったであろう。彼は老巧の智者であるが奸才にたけた悪役人ではない。大体この世の野望に見切りをつけた男は、何でも思う存分のことを歯に衣を着せず、人前をも憚らずに、ずばりずばりと言ってのけるもので、彼もまた青年内匠頭に対して言いたい放題のことは言ったであろう。これは必ずしも内匠頭だけでないことはもちろんである。いずれにしても彼が故意に内匠頭を痛めつけ、彼にキリキリ舞いをさせることによって快哉を叫ぶというような人柄でなかったことだけは明白である。
(第二)内匠頭は上野介の戒告をうけたが、どうしても納得する事ができず、その足で熟知の間柄である老中の月番土屋相模守を訪ねた。大役を全うするために吉良上野介の指揮を仰ごうとして出向いていったが、連日勅使ならびに重役に進物を差し上ぐるという事については一体どのように取り計ったらよいものであろうかという質問に対して相模守は、「これは初耳、その