Japanische Klassiker mit Furigana
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ほんじょまつざかちょう
本所松坂町
尾崎 士郎
Lesen Sie 本所松坂町 (ほんじょまつざかちょう) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.622 Zeichen · 55 Bildschirme
「近頃、浅野の痩浪人どもが江戸の街をうろついているそうだ、それについて新らしい噂は聞かぬか?」
「このあたりでも怪しいやつが、しきりにお屋敷の様子をうかがっているようですな、小林(平八郎)様なぞもこの頃では夜もおちおち眠られぬ御様子で」
新見弥七郎が、あたりをきょろきょろ見廻わした。「夜廻りなぞも、よほど厳重にしないといけませぬな」
「いや、来るときには来るよ、やつ等にしてみれば、それも尤なはなしだ、浪人どもが乗り込んできたら、おれはいつでもいさぎよく斬られてやる」
「だまって斬られるのですか?」
「バカめ、だまって斬られるやつがどこにある、痩浪人が何百人来たところで防ぐ気になればおれ一人で充分だ、しかし、あれだけ苦心して仇敵を討とうとしているやつをみると進んでやっつける気にはならぬ」
川ぞいの屋根につもった雪の塊りがバサリと大きな音をたてて水面へ落ちた。一学は熱燗の酒をぐっと一杯ひっかけ、ハ、ハ、ハ、と、はずみのついた声で笑いながら、
「いざとなると、しかし、そうもゆくまいな」
その晩は、何となく調子がはずまないので十二時ちかくなってから引き返えしてくると吉良邸裏門は雪で埋まっていた。