Japanische Klassiker mit Furigana
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すぎがき
杉垣
宮本 百合子
Lesen Sie 杉垣 (すぎがき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.051 Zeichen · 30 Bildschirme
大柄ではあるが、ゆったり椅子に靠れてそう云っている慎一の眼差しのなかには、思慮のこまやかさと心の平らかさを語る艶が籠っていた。
鴻造はやや暫く黙って髭の両端のところを下から撫で上げるようにしながら、その慎一の眼を見ていた末、
「いや、案外それが当っているかもしれんね」と、あっさり納得した。
「木乃伊とりが木乃伊になられちゃ困る。まあ、いずれ、またはまり場処もあろうさ」
現在慎一の持っている仕事、それで生活している勤めさきなどは、鴻造にとって仕事のうちに数えるものと思われてもいないような調子であった。あとになって、その話が鴻造ひとりの腹では九分九厘まで出来るものとして、軍関係の或る人に対しひきうけてあったと嫂からきかされて、峯子はいい気持がしなかった。若い自分たちの生活というものを、兄たちの辿っている人生の道から離れた別のものとして感じ直した。
「ふーん、そうだったのかい」
慎一もそのいきさつをきくと、青年らしく素朴な驚きを示し、同時に感服した。
「ああいう暮しを永年していると、僕らぐらいの人間は将棋の駒みたいに見えて来るんだろうね。きっと性格なんてものだって、使用価値からだけ見えているんだろうな」