Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すぎこ

杉子

宮本 百合子

Lesen Sie 杉子 (すぎこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.552 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

「まあ」

と声を出した。

「びっくりしたね。どうも杉子さんらしいと思ったが、当ったね」

それは母の兄、杉子には伯父の兼吉であった。八分どおり白い髭を動かして薄笑いしながら、

「妙なところで会うこともあるもんだね」

そして、伴立っている伊田は全然無視した視線を見下すように杉子にだけ注いで、

「若い娘というものは早く帰るもんだよ。おっ母さんが心配するよ」

杉子は急な腹立ちがこみあげて来て、我知らずそこへ立ちどまった。この伯父は、自分が腹を立てて顔を赧らめているのさえ妙な風にとるのだろう。

「伯父様御心配いらないのよ。母さん御存じなんですから」

若々しい憤慨が瞳に燃え立った。伯父の顔の上にぶつけるような気で、杉子は突嗟に伊田を紹介しようと思った。

「御紹介するわ」

杉子はくるりと歩道の上で伊田を顧みた。伊田はそこにいるものとばかり思った。杉子の心持からすれば、当然いるべき筈であった。

ところが、いつの間にか伊田の姿はそのあたりから消えて、鋭い動作でふり向いたはずみに杉子の靴がぶつかったのをふっとした一瞥で四十がらみの勤人風の男がせわしなく通りすぎて行った。見ると、伊田はずっとずっと先の駅の入口のところに佇んでこちらを見ている。