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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうかをよめるく

杉田久女随筆集

杉田 久女

Lesen Sie 杉田久女随筆集 (おうかをよめるく) von 杉田 久女 (すぎたひさじょ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.273 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

煉瓦で厚く積まれた病院の壁は、砲弾の痕もあり、くずれたところもあり、病室と言っても、只の土間に粗末な土人の竹の寝台をどの間も平等に、おかれてある許り、廊下もなくよその病人の寝ている幾つもの室を通って一番奥の室が弟の特別室であった。隣室には中年増の淪落の女らしいのが青い顔をして一人寝ていた。弟の室の裏手の庭は草が丈高くはえて入口には扉も何もなく、くずれかけた様な高い煉瓦塀には蔓草が這いまわり隣りの土人の家の大樹が陰鬱な影を落していた。院長などは非常に一生懸命尽して下さった。弟の身動きする度ギーギーなる竹の寝台を母はいたましがった。弟は台南で食べた西洋料理を思い出してしきりにほしがった。馴れぬ七月中ばの熱帯国の事故、只々氷をほしがった。枕元の金盥には重湯とソップを水にひやしてあったが水は何度取り替えてもじきなまぬる湯の様になる。信光は母のすすめる重湯を嫌って

みずう、みずう

と冷たいもの許りほしがった。この離れ島へ遠く死にに連れて来た様に思われる病人の為め出来る丈の事をしてやり度いと思っても金の山を積んでもここでは仕方がなかった。父は台南へむけ電報で氷を何十斤か何でも非常に沢山注文した。