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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうかをよめるく

杉田久女随筆集

杉田 久女

Lesen Sie 杉田久女随筆集 (おうかをよめるく) von 杉田 久女 (すぎたひさじょ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.273 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

病苦で夢中というよりも死ぬ迄精神のたしかであった弟は、この夕方の梟の声を大層淋しがった。見も知らぬ土地に来てすぐ侘しい病室に臥した弟は只父母をたより、姉をたより、私をたより、二人の兄達を思いつつ身も魂も日一日と、死の神の手におさめられようとして、何の抵抗もし得ず、尚お骨肉の愛惜にすがり、慈母の腕に抱かれる事を、唯一の慰めとしているのであった。不慮の災いからして遂に夭折すべき運命にとらわれてしまった不幸な弟、いたわしいこの小さな魂の所有者が我儘も病苦もさして訴えず、ギーギー鳴る竹の寝台に横たわっているのを見て、母はにじみ出る涙をかくしつつ弟を慰め、一日を十年の様な心持で愛撫しいとおしみつつ最後の日に近づいてゆくのであった。父は昼は病院から出勤し、夜は又病院で寝る為め私と姉とは淋しい県庁の中の家に召使とたった三人毎夜寝ていた。昼はムクの木の下に姉と行って木の実をひろい、淋しい時には姉と病院の方を眺めて歌をうたっていた。私の歯はその頃丁度ぬけ替る時で、グラグラに動いている歯が何本もあった。一生けんめい揺すっていた歯がガクリとわけなく抜けた或朝だった。