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Japanische Klassiker mit Furigana

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おうかをよめるく

杉田久女随筆集

杉田 久女

Lesen Sie 杉田久女随筆集 (おうかをよめるく) von 杉田 久女 (すぎたひさじょ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.273 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

病院から姉と私に早く来いとむかいが来た。

二三日前に、弟の厭やがり父母もどうせ死ぬものならといやがっていた、歯の根の膿みを持ったところを院長が切開したところが、いつ迄も出血が止らず、信は力ない声で、

いやあ、いやあ、切るのいやあ。

と泣いていたがとうとう死ぬ迄水の様な血が止らなかった。前日私の行った時はそれでも、私を喜んで大きく眼をあけていた。弟の病気が重いとは知りつつも死を予期しなかった私達は胸をドキドキさせてかけつけた。やっと間にあった。院長も外の軍医も皆枕元に立っていた。「それ二人とも水をおあげ」と母が出した末期の水を、夢中で信の唇にしめしてやった。何とも書きつくせぬ沈黙の中に、骨肉の四人の者は、次第にうわずりゆく弟の上瞼と、ハッハッハッと、幽かに外へのみつく息を見守っていた。母は静かに瞼をなでおろしてやった……

のぶさん※(感嘆符二つ、1-8-75) 苦しくない様に、寝られるお棺にして上げるわ。

私は、叫んだ。今迄の沈黙はせきを切って落とした様に破られて、すすり泣きの声が起った。

その時八つだった私の胸に之程大きく深く刻まれた悲しみはなかった。