Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あんずのわかば

杏の若葉

宮本 百合子

Lesen Sie 杏の若葉 (あんずのわかば) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.738 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんなことあるもんでない」

と立ち上った。

「どれ、もう、こりゃ二十年もこわれずにここに掛っていた時計だもん、そういきなり駄目になるこってないわな。どれ、降り、私がやって見る」

母親は、小学校というものもなかった時分に育った婆さんだから、高等小学を出たぬいより、機械なんかいじるのはもっと下手であった。ただ力はあるから、りきんで、ねじを逆に廻そうとなどする。

「ああ駄目だわ、母さん、発条が切れたら大変だよ」

「何としていいか。これは困ったな――ああ、ぬい、一走り清ちゃんとこさ行ってこ。きっといるから。あの子なら、訳はあるまい、ついこんないだ、小形屋の蓄音器をすっくりほごしてまた鳴るようにしたってもの」

ぬいは、気がすすまないながら、絣の前掛をはずして、野道を、半町ばかり北よりの清二の家まで迎いに行った。清二は戸口で藁打ちをしていた。ぬいを認めると、彼は藁を打ちながら、頭を動して笑い、

「ウウウウウ」

と挨拶した。ぬいは、まるで困った気持でお辞儀をしながら赧くなった。ぬいは、口の利ける者とばかりつき合うのに馴れているので、清二のように評判の悧巧者で、あんなに髪を分けた立派な成人(おとな)の男で、而も唖の人に、どんな風にしていいのかいつも困るのであった。