Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あんずのわかば

杏の若葉

宮本 百合子

Lesen Sie 杏の若葉 (あんずのわかば) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.738 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

清二のおふくろが、ちょいちょい指で手真似をしながら、ぬいの用向きを伝えた。清二は、眼で、この子の家(うち)か? と訊きながらぬいを指さした。ぬいは力を入れて頷いた。清二は、頬ぺたの瘠せた笑顔で手つきをした。

「もう直ぐこの仕事がすむから、そしたら行きますとよ」

「じゃあ、どうぞ」

ぬいは、ぱたぱた杉垣をかけ出し、野道ではゆっくり歩きながら、清二が一緒に来なくてよかったと思った。ぬいは、彼がこの春、草履屋から逃げて来たときの話を聞いた時から、しんでは深く彼に同情していた。清二は、草履屋の主人が人並の賃銭を自分だけに決して払ってくれない上、何か悪い病気持ちの朋輩と一つ床に寝なければならないのがいやでとうとう帰って来たのに、口が利けないからよくその気持が通らず、ただの我儘と思われ二度も親爺に引っぱられてもとの店に戻された。三度目に、彼が涙をこぼして頼んだのでやっと家にいていいことになった。ぬいは、口が利けないだけで彼はどんなに苦労しているのかと思うと、会った時、一度はちょいと、

「ほんとうにお気の毒だと思ってよ」

と云わずには気のすまない心持がした。唖は耳がきこえないから、ぬいが知っているただ一つの方法――言葉で喋ること――では、ただ一つの告げたいことさえ告げることが出来ない。