Japanische Klassiker mit Furigana
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むらのせいこうしゃ
村の成功者
佐々木 邦
Lesen Sie 村の成功者 (むらのせいこうしゃ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.883 Zeichen · 84 Bildschirme
「私、兄さんのところへ御無心に上ったんじゃありませんわ」
「それは分っているが、俺も黙って見ちゃいられない。お前の子は田川の家の子も同じことだ。田川の家の子が思い通りの教育を受けられないようなら、俺は先祖代々に対して顔が立たない」
「…………」
「それに卓造は俺が名づけ親になっている。何うにかするよ、それぐらいのことは」
「兄さん、お家の方は本当に大丈夫ですか?」
「つまらない心配をしなさんな。卓造が中学を卒業するまでには百間川へ水力電気が来る。然うなれば大学へやってやるよ」
「そんな遠い先のことは又のお話にして、中学の方は宜うございますね?」
「宜いとも」
「有難うございました」
と卓造君の母親は完全に目的を達した。
爾来卓造君は田川の伯父から月二十円宛の補助を受けて勉強している。伯父も義理ばかりで背負い込んだ仕事でない。今の世の中は何か一つ纒まった専門がなければ渡れないということを身代が細るにつれてツク/″\感じている。自分も若い頃東京へ遊学に出掛けて中途半端で帰って来た。長男も同様、物にならないでしまった。親類を見渡しても、皆似たり寄ったりの無気力な連中ばかりで単に徒食している。