Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじょうき
東上記
寺田 寅彦
Lesen Sie 東上記 (とうじょうき) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.356 Zeichen · 17 Bildschirme
車の音。端艇涯をはなるれば水棹のしずく屋根板にはら/\と音する。舷のすれあう音ようやく止んで船は中流に出でたり。水害の名残棒堤にしるく砂利に埋るゝ蘆もあわれなり。左側の水楼に坐して此方を見る老人のあればきっと中風よとはよき見立てと竹村はやせば皆々笑う。新地の絃歌聞えぬが嬉しくて丸山台まで行けば小蒸汽一艘後より追越して行きぬ。
昔の大名それの君、すれちがいし船の早さに驚いてあれは何船と問い給えば御附きの人々かしこまりて、あれはちがい船なればかく早くこそと御答え申せば、さらばそのちがい船を造れと仰せられし勿体なさと父上の話に皆々またどっと笑う間に船は新田堤にかかる。並んで行く船に苅谷氏も乗り居てこれも今日の船にて熊本へ行くなりとかにてその母堂も船窓より首さしのべて挨拶する様ちと可笑しくなりたれど、じっとこらゆるうちさし込む朝日暑ければにや障子ぴたりとしめたり。程なく新高知丸の舷側につけば梯子の混雑例のごとし。荷物を上げ座もかまえ、まだ出帆には間もあればと岩亀亭へつけさせ昼飯したゝむ。江上油のごとく白鳥飛んでいよいよ青し。欄下の溜池に海蟹の鋏動かす様がおかしくて見ておれば人を呼ぶ汽笛の声に何となく心急き立ちて端艇出させ、道中はことさら気を付けてと父上一句、さらば御無事でと子供等の声々、後に聞いて梯子駆け上れば