Japanische Klassiker mit Furigana
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りんご
林檎
豊島 与志雄
Lesen Sie 林檎 (りんご) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.752 Zeichen · 24 Bildschirme
「そうですか。」
自分でも可笑しいほど時経て私は答えた。けれども彼は平気で、すぐ私の言葉に応じた。
「そうです。そのために郷里へ連れ戻されるんです。可笑しなことがあるものですよ。」
私はぼんやり彼の顔を見つめた。
「子供を余り可愛がるから、東京に居てはいけないんだそうです。」
そして彼はまたにやりと薄ら笑いをした。
私は呆気に取られて、一寸言葉も見付からなかった。然し彼は私を馬鹿にしているのでもなさそうだった。その眼付や口付や笑い方などは、何だか普通でなかったけれど、言葉の調子は落付いた真面目なものだった。私は少し好奇心を動かされた。夜汽車の退屈ざましに私を話相手に選んだのか、または何か他意あってのことなのか、何れだって構やしないと腹を据えて、彼の話相手になってやろうと思った。
「余り子供を可愛がるから東京に居てはいけないんですって……不思議な話ですね。」
「ええ、不思議です。」
それでも彼は、一向不思議でもなさそうに、またにやりと笑った。
「ではあなたには、お子さんがあるんですか。」
「一人ありました、ずっと昔に。」
「ずっと昔ですって!」
「ええ、昔のことです。