Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかがえり

林芙美子随筆集

林 芙美子

Lesen Sie 林芙美子随筆集 (いなかがえり) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.157 Zeichen · 118 Bildschirme

Aozora Bunko

文芸欄を読み、家庭欄を読み、それから政治面の写真だけを見る。それでおしまい、三面記事を朝読むのは怖いから読まない。一日厭な思いをするから、たいてい、昼すぎにちょいちょいのぞくことにしている。

徹夜の仕事はろくなものは書けないのだけれども、どうしても夜になって、「ああ」とくたびれてしまうのだ。私だけの客でなく、家のひとたちの客も見える。おかずごしらえ、下着の洗濯、これでなかなか楽な生きかたではない。年齢をとった女中をおくことも時に考えるけれども、いまの女中は十三の時に来て三年いる。私の邪魔にならないので、何が不自由でも、それが一番幸せだと思っている。第一、女中がいてくれるなんて、マノン・レスコオの中の何かの一節にあったけれども、なりあがり者の私としては、はずかしい位なのだ。しかも三年もいてくれている。

私は、ひとにはなかなか腹をたてないけれども、家ではよく腹をたてて自分で泣きたくなる。その気持ちはどこへも持ってゆきようがないので、机の前に坐り、呆んやりしている。煙草はバットを四、五本吸う。昔、好きなひとがあった頃は、そのひとが煙草がきらいで吸わなかったけれども、いまはそのひとと何でもなくなったので、平気で煙草を吸うようになってしまった。