Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Lesen Sie 林芙美子随筆集 (いなかがえり) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.157 Zeichen · 118 Bildschirme
字を書いている仕事よりも
炭をつまんでいる方がはるかに愉しい
飼われた鶯が、どこかで啼きはじめる
これは、私の散文だけれども、夜明けに、こんな気持ちを味わうのはたびたびのことだ。炭籠をさげて裏へ出て行くと、寒くて震えあがってしまう。だけど軍手をはめて、がらがらと炭俵をゆすぶって、炭を一つ一つとつまんでいる時は、私が女のせいか、やっぱり愉しい本業へかえったようで、楽々とした気持ちなのだ。
夜明けになると、どんなに寒くても鶯が一番早く啼いてくれる。どの家で飼っているのか知らないけれども、屋根の上が煙ったように明るくなるとすぐ鶯が啼き、牛乳屋の車の音が浸み透るようにきこえて来る。牛乳は二本取っている。母親と私がごくんごくん飲むのだ。牛乳配達や、新聞配達、郵便配達、寒い時は、気の毒になってしまう。夜明けの景色はいいけれども、徹夜をすると、私はまるで皮でもかぶっているように気色が悪い。
朝御飯はたいてい牛乳。本当に御飯をたべるのが九時頃。御飯は女中が焚き、味噌汁は私が焚く。幸せだと思う。仕事が忙がしくなって、台所へ二、三日出ないと、皆、抜けた顔をしている。私は料理がうまい。