Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Lesen Sie 林芙美子随筆集 (いなかがえり) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.157 Zeichen · 118 Bildschirme
ちょうど五月頃の客のない時で御飯もいちいち炊けないのかも知れないけれど、二、三日泊っている間に、私は二、三度ふかし飯を食べさせられて女中さんに談判したことがある。どう云うせいなのか、これは三、四年前のことだのに、この無念さはいまだに思い出すのだから、食いものの恨みと云うものも、なかなか根強いものだと思う。――朝飯にかぎらず、食事のまずいのは東北。しかも樺太あたりに行くと、朝からなまぐさい料理を出される。
朝飯がうまかった思い出は、静岡の辻梅と云う旅館に泊った時だ。ここでは何よりもまず茶のうまいのが愉しい。京都の縄手にある西竹と云う家も朝御飯がふっくり炊けていてうまかった。それから、もっとうまいのに、船の御飯がある。船に乗る度におもうのだけれど、大連航路の朝の御飯はつくづくうまいと感心している。船旅では朝のトーストもなかなかうまいものだ。
パンで思い出すのは、北京の北京飯店の朝のマアマレイド。これは誰が煮るのか、澄んだ飴色をしていて甘くなく酸っぱくなく実においしい。
私はめったに友人の家へ泊ったことがないけれど、鎌倉の深田久弥氏の家へ泊った時の朝御飯は、今でも時々、うまかったと思い出す。