Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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そめきちのしゅぼん

染吉の朱盆

国枝 史郎

Lesen Sie 染吉の朱盆 (そめきちのしゅぼん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.824 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

棚からぼた餅といわれているが、何んの当世棚を覗いたってぼた餅なんかァありそうもねえが、今日はそいつにありついたってものさ、そうはいっても俺の考え、間違っていりゃァ別だがな」

押し詰った十二月の中旬真昼。歩いている人間が足ばかりに見える。そんなにも急がしく歩いている。そうかと思うと眼ばかりに見える。そんなにもキョロキョロあわただしい。天気はよいが風は強い家々の暖簾が刎ねている。

賑かな町通りへやって来た。

「よしこの辺から探してやろう」

「ごめんよ」といって這入ったのは、店附の立派な古物商。

「へい、いらっしゃい」と小僧の挨拶、そんなものへは返辞もせず、ズンズン奥へ通って行った。

主人であろう、皮肉そうな爺が、獅噛火鉢にしがみついている。

「へい、いらっしゃい」と上眼をした。冷かし客か買う客か、上眼一つで見究わめるらしい。

「染吉の朱盆ありますかえ?」

「へ、染吉?」ときき返したが「お生憎さまで、ございませんねえ」

「ぜひほしいんだが目っけてくれまいか」

岡八店先へ腰をかけ、平気で火鉢へ手をかざした。

「ありゃァ滅多に手に入りませんよ」

「いうまでもなく承知だがね、だから一層ほしいのさ」