Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
そめきちのしゅぼん
染吉の朱盆
国枝 史郎
Lesen Sie 染吉の朱盆 (そめきちのしゅぼん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.824 Zeichen · 35 Bildschirme
その時はすっかり衰弱している。どうしたと尋ねても真相をいわない。そうして、おまけに、いうのである。
「ああもう一度あそこへ行きたい」
そうして間もなく死んでしまうのである。
時世は慶応元年で、尊王攘夷、佐幕開港、日本の国家は動乱の極、江戸市中などは物情騒然、辻切、押借、放火、強盗、等、々、々といったような、あらゆる罪悪は行われていたが、岡八のぶつかった難事件のようなそんな事件は珍しかった。
「さらわれた先をいわないというのが、何より変梃で見当がつかない」
全く見当がつかなかった。
で、この日頃ムシャクシャしていた。
そんな気も知らずに半九郎奴、十年前の古事件、お縫様屋敷の物語りを、面白くもなく、しゃべり立て謎を解いて見ろというのである。
「で、何かい」と岡八はいった。「その古々しい因果物語りが、はやり出したというのかい?」
「ああそうだよ」と半九郎。「銭湯へ行っても髪結床へ行っても、専らそいつが評判なのさ」
「で、何かい」と、また岡八「四人までも切った侍が、其まま解らずに消えたのが、面妖だっていうのかい?」
「それからどうして染吉が、燈心の火が消えるように、衰死したかが不思議だというのさ」