Japanische Klassiker mit Furigana
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りゅうえいひろくかつえぐら
柳営秘録かつえ蔵
国枝 史郎
Lesen Sie 柳営秘録かつえ蔵 (りゅうえいひろくかつえぐら) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.933 Zeichen · 27 Bildschirme
八千石の大旗本、大久保主計の養女として、お杉は貰われて行ったのであった。
大久保主計は安祥旗本、将軍家斉のお気に入りであった。それが何かの失敗から、最近すっかり不首尾となった。そこで主計はどうがなして、昔の首尾に復ろうとした。微行で浅草へ行った時、計らず赤前垂のお杉を見た。
「これは可い物が目つかった。養女として屋敷へ入れ、二三カ月磨いたら、飛び付くような料物になろう。将軍家は好色漢、食指を動かすに相違ない。そこを目掛けて取り入ってやろう」
で、早速家来をやり、養母お粂を説得させた。一生安楽に暮らせる程の、莫大な金をやろうという、大久保主計の申し出を、お粂が断わるはずがない。一も二もなく承知した。
お杉にとっては夢のようで、何が何だか解らなかった。水茶屋の養女から旗本の養女、それも八千石の旗本であった。二万三万の小大名より、内輪はどんなに裕福だかしれない。そこの養女になったのであった。お附の女中が二人もあり、遊芸から行儀作法、みんな別々の師匠が来て、恐れ謹んで教授した。衣類といえば縮緬お召。髪飾りといえば黄金珊瑚、家内こぞって三ッ指で、お嬢様お嬢様とたてまつる、ポーッと上気するばかりであった。