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Japanische Klassiker mit Furigana

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くりのはなのさくころ

栗の花の咲くころ

佐左木 俊郎

Lesen Sie 栗の花の咲くころ (くりのはなのさくころ) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.440 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「馬鹿っ! 貧乏はしても嘉三郎だぞ! そこえらの水呑百姓と縁組が出来ると思うのか! 痩せても枯れても庄屋の家だぞ。考えても見ろ! 何百人という人間を髭を捻り稔り顎で使って来てる大請負師だぞ。何は無くっても家柄ってものだけは残っているんだ。」

「家柄家柄って、昔のことなど、幾ら言って見ても何になるべね。俊三郎なんかも、家柄のために、なんぼ苦労しているだか。自分じゃあ気楽に百姓していたがるものを、お父さんが(俺家の伜も東京へ勉強に出ていますがな!)って言って髭を稔っていてえばかりに、銭の一文も送れねえのに無理に苦学になど出してやって……」

松代はそう涙声になりながら続けた。

「馬鹿! 俊や美津のことなど言うなっ! 黙っていろ!」

嘉三郎は又そう怒鳴った。それで二人の間の争いはぷっつりと消えた。重い沈黙がそして拡がって来た。

そこへ庭から郵便配達が這入って来て、嘉三郎の膝のところへ、一通の封書をぽんと投げて行った。嘉三郎は髭を剃るのをやめて封書を取り上げた。そして、嘉三郎は、驚異の眼をりながら、大急ぎで封を切った。

二

嘉三郎は手紙を読みながら、咽喉をごくりごくりと鳴らして、何度も唾を嚥み下した。