Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうとう

桜桃

太宰 治

Lesen Sie 桜桃 (おうとう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.851 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

と、母の機嫌を損じないように、おっかなびっくり、ひとりごとのように呟く。

子供が三人。父は家事には全然、無能である。蒲団さえ自分で上げない。そうして、ただもう馬鹿げた冗談ばかり言っている。配給だの、登録だの、そんな事は何も知らない。全然、宿屋住いでもしているような形。来客。饗応。仕事部屋にお弁当を持って出かけて、それっきり一週間も御帰宅にならない事もある。仕事、仕事、といつも騒いでいるけれども、一日に二、三枚くらいしかお出来にならないようである。あとは、酒。飲みすぎると、げっそり痩せてしまって寝込む。そのうえ、あちこちに若い女の友達などもある様子だ。

子供、……七歳の長女も、ことしの春に生れた次女も、少し風邪をひき易いけれども、まずまあ人並。しかし、四歳の長男は、痩せこけていて、まだ立てない。言葉は、アアとかダアとか言うきりで一語も話せず、また人の言葉を聞きわける事も出来ない。這って歩いていて、ウンコもオシッコも教えない。それでいて、ごはんは実にたくさん食べる。けれども、いつも痩せて小さく、髪の毛も薄く、少しも成長しない。

父も母も、この長男について、深く話し合うことを避ける。