Japanische Klassiker mit Furigana
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うめづしえんおうでん
梅津只円翁伝
杉山 萠円
Lesen Sie 梅津只円翁伝 (うめづしえんおうでん) von 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.582 Zeichen · 130 Bildschirme
「武士の子たる者が乱舞を習わぬというのは一生の恥じゃ」
といった論法で、面喰っている筆者の手を引いて中庄の翁の処を訪うて、翁の膝下に引据えて、サッサと入門させてしまった。その怖い怖い祖父が、翁の前に出ると、さながら二十日鼠のように一と縮みになるのを見て筆者も文句なしに一縮みになった。封建時代の師弟の差は主従の差よりも甚だしくはなかったかと今でも思わせられている位であった。
まだ十歳未満の筆者が、座ったまま翁と応待していると、祖父が背後からイキナリ筆者の頸筋を掴まえて鼻の頭と額をギュウと畳にコスリ付けた事があった。礼儀が足りないという意味であったらしい。
◇
筆者の祖父は馬鹿正直者で、見栄坊で、負けん気で、誰にも頭を下げなかったが、しかし只圓翁にだけはそれこそ生命がけで心服していた。
神事能や翁の門下の月並能の番組が決定すると、祖父の灌園は総髪に臘虎帽、黄八丈に藤色の拝領羽織、鉄色献上の帯、インデン銀煙管の煙草入、白足袋に表付下駄、銀柄の舶来洋傘(筆者の父茂丸が香港から買って来たもので当時として稀有のハイカラの贅沢品)という扮装で、喰う米も無い(当時一升十銭時代)貧窮のただ中に大枚二円五十銭の小遣(催能の都度に祖父が費消する定額)を渫って弟子の駈り出しに出かけたので、祖母や母はかなり泣かさ