Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
すてかご
棄轎
田中 貢太郎
Lesen Sie 棄轎 (すてかご) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 621 Zeichen · 2 Bildschirme
上州の田舎の話である。某日の夕方、一人の農夫が畑から帰っていた。それは柄の長い鍬を肩にして、雁首を蛇腹のように叩き潰した煙管をくわえていた。そして、のろのろと牛のように歩いていると、路傍の松の木の下に異様な物を見つけた。
「ほう」
それは見る眼にも眩しい金と銀の金具をちりばめた轎であった。
「諸侯の乗るような轎じゃねえか」
それにしても、轎夫もいなければ伴の者もいない。まるで投げ棄ててでもあるように置いてあるのが不思議でならなかった。轎の中はひっそりとしていて、何人も乗っていそうにないし、見ている漢もないので、轎の傍へ寄って往って垂れをあげた。垂れをあげて農夫は驚いた。轎の中にはお姫さまのようなな女がいた。
「これは、どうも」
農夫はあわてて垂れをおろそうとしところで、女がちらとこっちを見た。同時に農夫はのけぞった。
「わ」
それは眼も鼻も口もないのっぺらぽうの顔であった。農夫は転げるように逃げ帰ったが、それから病気になって死んでしまった。
その農夫が怪しい轎を見た日のこと、それから数分と経たない時刻に、その村からよっぽど離れた村の農夫が、これも畑から帰っていると、路傍に金と銀の金具のある轎があった。