Japanische Klassiker mit Furigana
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せいかけんざっき
棲霞軒雑記
上村 松園
Lesen Sie 棲霞軒雑記 (せいかけんざっき) von 上村 松園 (うえむらしょうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.211 Zeichen · 15 Bildschirme
制作につかれると私は一服の薄茶をたててそれをいただく。
清々しいものが体の中を吹き渡る……つかれはすぐに霧散する。
「どれ、この爽涼の気持ちで線を引こう」
私は筆へ丹念に墨をふくます。線に血が通うのはそういう時である。
色や線にふとしたことから大へんな失敗を起こすことがある。そういう時は御飯をいただくことすら忘れて一日も二日も考え込むことがある。
失敗をごまかそうとするのではない。この失敗を如何にして成功の道へ転換させようかと工夫するのである。
研究する。ああでもない、こうでもないと空に線を描き色を描いてそれを生かそうとする。
ふとこれが新しい色になり、新しい線、そして新しい構図にまで発展してくれることがしばしばある。
失敗は成功のもとと言う。古人の残した言葉は不動である。
誤ったために、その失敗を工夫して生かし思わぬ佳作が出来上ることがある。そのような時はまた格別に嬉しい。それは画境に一進展の兆しがある場合が多いのである。
なんとかしてそこを補おうと工夫しながら眠りに落ちる。
そのような時には夢の中にまで、その工夫がのびてゆく。
松園という字がすうッと伸びて梅の一枝になっていたりする。