Japanische Klassiker mit Furigana
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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
Lesen Sie 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.845 Zeichen · 86 Bildschirme
「すいません」
といって、杜はその煉瓦をひったくるようにして取った。
杜と人妻お千とは、また前後に並んで歩きだした。――電車が鉄枠ばかり焼け残って、まるで骸骨のような恰好をしていた。消防自動車らしいのが、踏みつぶされた蟇のようにグシャリとなっていた。溝のなかには馬が丸々としたお臀だけを高々とあげて死んでいた。そうかと思うと、町角に焼けトタン板が重ねてあって、その裾から惨死者と見え、火ぶくれになった太い脚がニョッキリ出ていた。お千はそれを見ると悲鳴をあげて、彼の洋服をつかんだ。
杜は、胸のなかでフフフと笑った。この女とても、自分が通りかからねば、あのようなあさましい姿になっていた筈だのに、それを怖がるとはなんということだろう、と。
彼はふたたび焼野原の銀座通へ出て、それからドンドン日本橋の方へ歩いていった。おどろいたことに、正面に見たこともない青々とした森が見えたが、これがよく考えてみると、上野の森にちがいなかった。なにしろこの辺は目を遮るものとてなんにもないのであった。――ああ今頃、ミチミはどうしているだろう。
「さあ、接待だ、遠慮なく持っていって下さい」