Japanische Klassiker mit Furigana
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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
Lesen Sie 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.845 Zeichen · 86 Bildschirme
しかし人間の世界を高き雲の上の国から見給う神の思召はどうあったのであろうか。神はミチミが法廷に送られる前に、天国へ召したもうた。
実はあれだけ立派な証拠を残して来た犯罪事件ではあったが、震災直後の手配不備のせいであったか、それから一月経っても、二月経っても、司直はミチミたちを安穏に放置しておいた。しかし初冬が訪れると間もなくミチミは仮初の風邪から急性の肺炎に侵されるところとなり、それは一度快方に赴いて暫く杜を悦ばせた。けれども年が明けるとともにまた容態が悪化し、遂に陽春四月に入ると全く危篤の状態に陥った。ミチミが他界したのは四月十三日のことであった。
折から桜花は故郷の山に野に爛漫と咲き乱れていた。どこからか懶い梵鐘の音が流れてくる花の夕暮、ミチミは杜に手を取られて、静かに呼吸をひきとった。
杜はミチミの亡骸をただひとりで清めた、それから白いかたびらを着せてみたが、いかにも寒々として可哀想であったので箪笥の引出を開いて、生前ミチミが好んでいた燃えるような緋ぢりめんの長襦袢に着かえさせた。そして静かにミチミの亡骸を、寝棺のなかに入れてやったのであった。