Japanische Klassiker mit Furigana
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かんおけのはなよめ
棺桶の花嫁
海野 十三
Lesen Sie 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.845 Zeichen · 86 Bildschirme
それにあんただって、なるたけ色っぽい女房に見える方が好きなんでしょ」
「……」
「ねェ、黙ってないで、お返事をなさいってば。――あんた怒っているの」
「莫迦ッ。だ、だれが怒ってなぞいるものかい」
男は興奮の様子で、襖に手をかけた。
「ああ、駄目よォ、あんたア……」
房子は双膚ぬいだまま立ち上って、内側から、襖をおさえた。
「いいじゃないか」
「だめ、だめ。駄目よォ」
髪が結えたのか、しばらくすると箪笥の引出しがガタガタと鳴った。そして襖の向うからシュウシュウと、帯の摺れる音が聞えてきた。もうよかろうと思っていると、こんどはまた鏡台の前で、コトコトと化粧壜らしいものが触れ合う音がした。
「どうもお待ちどおさま。――アラあたし、恥かしいわ」
さっきからジリジリしながら、長火鉢のまわりをグルグル歩きまわっていた男は飛んでいって、襖をサラリと開けた。
「アアアア――」
房子は薄ものの長い袖を衝立にして、髪を見せまいと隠していた。
「あッ、素敵。――さあ、お見せ」
「ホホホホ――」
「さあお見せ、といったら」
「髪がこわれるわよォ、折角結ったのにィ――」
女は両袖をパッと左右に開いて、男の前によそ行きの顔をしてみせた。