Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
つばきのはなのあか
椿の花の赤
豊島 与志雄
Lesen Sie 椿の花の赤 (つばきのはなのあか) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.755 Zeichen · 22 Bildschirme
暫くたってから、李が笑い出したのにつれて他の人々も笑いだし、煉瓦を片附け、壊れた人形を拾って塵箱に捨てた。
それだけならただ笑い話だが、その日の午後、正枝の室から人形が紛失した。独り者の年増婦人の室によくあるように、正枝の室にも、裾を引いた美しい衣裳を重ね着してる大きな童女の人形が、硝子箱に納まって、床の片隅に置いてあった。その大事な人形が、箱からぬけ出して消えてしまったのである。これには正枝は、赤ん坊の死体などのことよりも騒ぎたて、真赤になってアパート中をかき廻した。
そのことを聞いて、李が正枝に詫びた。庭の裸人形の件は、全く李の悪戯で、知人の家の大掃除の手伝いの折、がらくた物の中から右の古人形を見つけ、水で洗ってきれいにし、正枝をおどかすつもりで狂言をやったのだった。然し、正枝の室の立派な人形のことなんか全然思ってもみなかったし、まして盗み心なんか起しもしなかった。
「悪戯のことはお詫びします。けれど、おばさんの人形を盗んだのは僕でありません。疑をかけられたら、僕は生きておられません。腹を切って死にます。」
李が真剣にそう云うのへ、正枝はやさしい笑顔で報いた。