Japanische Klassiker mit Furigana
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たてごし
楯輿
山本 周五郎
Lesen Sie 楯輿 (たてごし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.377 Zeichen · 17 Bildschirme
供をつれてゆくかと訊くと、……眼立たぬほうがよいからと云い、まるで隣りを訪れでもするような淡々たる挨拶をして出ていってしまった。すぐ城へ詰めなければならぬ彼は、妻のようすがまだ不たしかなので、自分も支度をしながらひとわたり家の中を見てまわった、どこもかしこもきちんと片付いていた、なに一つみぐるしい物は残っていなかった、それはちょうど今日あることを予期していたもののようであった。……平生このとおりだったのかしらん、与八郎はそう思い返してみたが、それと合点のゆく記憶はなにもなかった、かれはわけがわからぬという風に頭を振り、支度を直して城へ登った。
僅かな留守兵をあげて必死の防備についたが、石田三成の軍勢は伏見城の鳥居元忠の敢闘に支えられ、ようやくこれを攻め落したときには、すでにひき返して来た徳川軍の先鋒諸隊がぞくぞく清洲へ入城していた。八月十四日までに、城主の左衛門大夫はじめ、十九将三万五千の兵馬が集結したのである、そして同じ二十二日の早朝、これら先鋒諸隊はふた手にわかれ、暁闇をついて木曽川を渡ると、石田軍の前備えともいうべき織田秀信の岐阜城攻撃を以て緒戦を挑んだ。