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Japanische Klassiker mit Furigana

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えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lesen Sie 榎物語 (えのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.519 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

尤もなことであった。

「仰しゃるとおりだと思います」さわは答えた、「あなたのお心にそむきながら、一方ではお世話になり続けてまいりました、いつかこういう噂が出るだろうと、考えなかったあたしが悪かったのです、もし責任があるとしたらこのさわ一人にあるので、大旦那やあなたにはお詫びの申上げようもございません」

「私はあやまってもらうために来たんじゃありません」

「わけを申上げます、聞いて下さいますか」

安二郎は頷き、さわは話した。自分の生い立ち。山猿と呼ばれた国吉の人柄。二人がお互いにちかづいたきっかけや、榎の下で忍び逢ったこと、やがて雇人にみつかり、国吉が「ぬすっとより悪いやつだ」と罵られて放逐されたこと。二人でひそかに逢って、将来を誓いあったこと、また、山津波のあった日に国吉から手紙が来たけれども、父の手にはいって破棄され、自分は読まなかったことなど、詳しくうちあけた。安二郎は終りまで黙って聞いてから、非難するようにではなくさわを見た。

「それはあなたが十五のとしだったと云いましたね」

「約束をして別れたのは二年あとで、あたしは十七、あの人は十九になっていました」