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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

「石川さんて誰なの」

「道場にいた石川兵庫介という人です」

おみやは頷いて、「ああ、兄の厄介者ね」と云った。そのとき庭で小鳥の声がした。鶯らしいが、まだ幼ない鳴きぶりで、梅林の枝を渡っているのだろう。その声は遠くなり近くなり、ややしばらく聞えていた。

二人は気がつかなかった。

おみやが兄の「厄介者」と云うのを聞いて、新八は、びっくりしたように彼女を見た。その、むぞうさな調子にこもっている、侮蔑のひびきに驚いたのである。石川さんは厄介者ではない、藤沢さんも野中さんも、ほかの人たちもちゃんと働いている。道場でも門人たちに稽古をつけるし、出稽古もして働いている。

――なにもしないのは柿崎さん一人だ。

と新八は思った。へんな女を三人も置いて、なにもしないで贅沢ばかりしているじゃないか、それが喧嘩のもとになったのだ、と新八は思った。――そういえばこのひとにも似たところがある。たしかに似たような性分だ、と思った。

おみやが、「なにをそんなにじろじろ見るの」と云った。その人の腕をどうして兄が折ったのか、なにが原因でそんなことになったのかと、おみやは訊いた。

「私に稽古をつけるのが乱暴すぎる、と石川さんが云ったんです、それで柿崎さんが怒って、二人で試合をしたんですが、石川さんはずっと酒を飲みつづけて、躯が弱っていたそうです