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Japanische Klassiker mit Furigana

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きをあいするこころ

樹を愛する心

豊島 与志雄

Lesen Sie 樹を愛する心 (きをあいするこころ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.805 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

残りの土壌を支え、且つ我身を支えているのだ。半ば傾いてるのもある。傾きながらも喰い入っている。すばらしい力と闘争だ。

それらの樹木が、殊に落葉樹が、春になって芽を出し、葉を茂らし、それから颱風の季節を迎える時のことを、私は今から想像する。殊に、中に一本水木がある。幹に小孔をあけておけば、さんさんと水液がしたたり出て、支那では之を不老長生の霊水と称したという、あの珍らしい水木である。幹がすらりとして、枝振りが重々しく、落葉期の今でも、風が吹けばしきりに頭を振る。それが、崖の中途にしがみついている。

それらの樹木のために、私は崖の土盛りを考えた。崖の高さ四五間ほどもあろうか。然し、きり立った崖でなく、崖先に余地もあるので、先端を約一間ほど築いて、緩勾配に高めていけば、太田の池の名残も幾分保ちながら、樹木の根はすっかり土で蔽える筈である。然るに、その費用、約千円を要する。或る人々にとっては何でもないこの千円が、私にとっては殆んど夢想に等しいものとなる。私は黯然とした。

黯然として、私は崖の樹木を眺めるのである。樹木は無数の枝を差しのべて、その先には、もう若芽がふくらんで色づいている。