Japanische Klassiker mit Furigana
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そり
橇
黒島 伝治
Lesen Sie 橇 (そり) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.663 Zeichen · 24 Bildschirme
「いつまでやったって切りがない。」
「腹がへった。」
「いいかげんで引き上げないかな。」
「俺等がやめなきゃ、いつまでたったってやまるもんか。奴等は、勲章を貰うために、どこまでも俺等をこき使って殺してしまうんだ! おい、やめよう、やめよう。引き上げよう!」
吉原は喧嘩をするように激していた。
彼等は、戦争には、あきてしまっていた。早く兵営へ帰って、暖い部屋で休みたかった。――いや、それよりも、内地へ帰って窮屈な軍服をぬぎ捨ててしまいたかった。
彼等は、内地にいる、兵隊に取られることを免れた人間が、暖い寝床でのびのびとねていることを思った。その傍には美しい妻が、――内地に残っている同年の男は、美しくって気に入った女を、さきに選び取る特権を持っているのだ。そこには、酒があり、滋養に富んだ御馳走がある。雪を慰みに、雪見の酒をのんでいるのだ。それだのに、彼等はシベリアで何等恨もないロシア人と殺し合いをしなければならないのだ!
「進まんか! 敵前でなにをしているのだ!」
中隊長が軍刀をひっさげてやって来た。
七
遠足に疲れた生徒が、泉のほとりに群がって休息しているように、兵士が、全くだれてしまった態度で、雪の上に群がっていた。