Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
彼女は、仙吉に言わせるだけ言わせてしまうと、
「あんたも、若いに似ず、理詰めで来たり、人情にからんだり、なかなか隅に置けないわね。旦那もさぞ心丈夫でしょう、ほほほ。……だけど、どう? 預証はもうこれでおしまいなんだから、いっそさっぱりなすっちゃ。そりゃあ、こちらの旦那としちゃあ、すいぶんご迷惑でしょうともさ。私だって重々お察しはしていますよ。お察ししていればこそ、こうして十日おきとか、半月おきとかに、ぼつぼつお願いして来たんじゃありませんか。それがおしまいの一枚になって、お預けしたものをお返し下さらんということになれば、私の方はとにかくとして、第一、旦那の名折れじゃありませんかね。」
その声色めいた調子が、ねっとりと仙吉の耳にからみついて行った。仙吉は急にうまい言葉が出て来ないらしく、相手を見つめて、変に口を尖らした。
次郎は、さっきから、まばたきもしないで二人の対話をきいていたが、だしぬけに仙吉に言った。
「仙さん、さっさとやっちまったらどうだい。」
仙吉は、しかし、何か眼で合図したきり、返事をしなかった。すると、女が次郎の方を向いて、
「そう、そう。