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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は、ふみこんではならない神聖な祭壇に土足をかけたような気がして、われ知らずはね起き、きちんと机の前に坐った。と、ちょうどその時、俊亮が帰って来たらしく、すぐ下の店で仙吉と何か話すのがきこえて来た。次郎は耳をそばだてた。

「へえ、そうですか。私なら、せいぜい半金ぐらいでぶちきって来ましたのに。」

「そうも行くまい。どうせあの酒は役に立つまいからね。」

「しかし、向こうじゃ、煮物のさし酒ぐらいには役に立てるでしょうよ。」

「そりゃそうかも知れんが、そこまでこまかく考えんでもいいさ。」

「じゃあ、こちらに引きとったらどうでしょう。」

「引きとるって、あの酒をかい。」

「ええ。」

「引きとってどうする。」

「どうするってこともありませんが……」

「こちらで捨てるぐらいなら、向こうで役に立ててもらった方がいいよ。」

「でも、それじゃあ癪ですねえ。」

「ふっふっふっ、そんなけちな腹は立てん方がいい。次郎に、世の中にはあんな人間もいるっていうことを教えてもらったと思やあ、ありがたいくらいなもんだよ。」

次郎は、はっとしたように、首をもたげた。

「で、どうでした。やっぱり次郎さんがあやまりなすったんですか。