Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
」
次郎には、しかし、先生の言った意味がすぐにはのみこめなかった。酒甕に水をぶっこんで自分の短慮と卑劣さを暴露し、春月亭をたずねて自分の良心的行為に侮辱を与えられ、いわゆる「実社会」が幻滅の世界以外の何ものでもない、ということを学んだことは、彼にとって、実際、たえがたいほどのみじめな経験でこそあれ、すばらしいなどとは少しも思えないことだったのである。
彼は、先生に冷やかされているのではないかという気がして、何か憤りに似たものさえ感じた。そして、じっと先生の顔を見あげていると、先生の眼からはしだいに微笑が消え、今まで底に沈んでいたきびしい光がその代りに表面に浮かんで来た。
「だが――」
と、先生は、その眼で次郎の眼を射返すように見ながら、
「君のさっきからの話しぶりでは、せっかくのすばらしい経験も、まるで台なしになりそうだね。」
次郎には、この言葉の意味も、よくは通じなかった。しかし、「すばらしい経験」と言われたのが、決して先生の冷やかしではなかった、ということがわかって、意味はわからぬながらも、何か心強い気もした。同時に、それが「台なしになりそうだ」