Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
一六 新しい出発
一六 新しい出発
次郎は、中学校にはいってから、恭一にすすめられて、ずっと日記をつけて来た。日記帳はべつにきまっていなかった。最初の一年は小形の当用日記をつかったが、かえって不便な気がして、あとでは、普通のノートをつかうことにしたのである。彼の日記には、かなりむらがあり、書きたいことがあれば、何枚でも夜ふかしをして書く代りに、日によっては一行か二行かですますこともあった。また、他人が見ては何のことだか想像もつかないほど主観的な感想をならべたところがあるかと思うと、皮肉なほど冷たい客観的描写をやっているところもあった。それに、二年の半ばごろからは、和歌や、詩などを記した頁も、しだいに多くなって来たのである。
彼の詩心については、「次郎物語第二部」のなかでちょっとふれておいたが、それは、運命的に彼の胸の底を流れている哀愁の感情が、恭一に対する、これも運命的な競争意識に刺戟されて、最初芽を出したものであった。それだけに、彼の書いたものには、恭一のそれのような素直さや温かさはなかった。しかし、どこかに、人の心をつく感情の鋭さと、機智のひらめきとがあった。